胃がんについて
厚生労働省が発表している人口動態統計の、男女別の部位別がん死亡率(人口10万対)をみますと、
他のがんが年々増加しているのに比べて、胃がんはほぼ横ばいの傾向です。
しかし、もともと胃がんにかかる患者様の比率が多かったため、現在でも多くの方が亡くなられています。
性別ごとに見ると、胃がんは男性で第2位、女性で第3位です。
胃がんは初期の段階では症状が出にくいため、気付かないことが多いです。
40歳を過ぎたら、1~2年に1度は胃カメラ検査をお受けすることをおすすめします。
胃がんの危険因子
以下の項目に当てはまる内容が多い方は要注意です。一度検査を受けることをお勧めいたします。
- 塩分のとりすぎ
- タバコを吸う
- ピロリ菌に感染している
- 運動不足
- 太り気味
- 肉類などの動物性脂肪の多い食生活
- 野菜や果物をあまり食べない
- お酒をたくさん飲む
- 家族の中に胃がんにかかった人がいる
胃がんの大部分はピロリ菌感染症
特にピロリ菌に関しては、密接に関係しているといわれています。1994年にWHO(世界保健機構)は、ピロリ菌は「確実な発がん因子」と認定しました。これは、タバコやアスベストと同じ分類に入ります。
ピロリ菌の感染が長期間にわたって持続すると、胃の粘膜がうすくやせてしまう「萎縮」が進行し、一部は腸上皮化生となり、胃がんを引き起こしやすい状態をつくりだします。
また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍や胃炎などの患者さんを対象とした調査では、10年間で胃がんになった人の割合は、ピロリ菌に感染していない人では0% (280人中0人)、ピロリ菌に感染している人では2.9%(1246人中36人)であったとの報告がわが国から行われています。
胃がんの自覚症状
胃がんは自覚症状がほとんどないため、早期発見が非常に難しいがんです。
胃がんの初期症状としては下記のような症状がみられますが、日常生活のなかでもありがちな症状のため、気付かずに放置してしまうことがほとんどです。
- 吐き気、不快感、もたれ
- げっぷが多い
- 食欲不振
- 黒い便がでる
- 急に体重が落ちている
- 貧血が起きる
定期検査で胃がんの早期発見・早期治療につなげましょう
胃がんのもっとも有効な予防手段は、ピロリ菌を早い段階で除菌することです。3歳~5歳までに感染したピロリ菌感染をできる限り早く診断して、除菌をすることが推奨されています。
胃がんになってしまったとしても、初期のうちに発見・治療できれば、比較的治る可能性も高いことが報告されています。早期発見・治療につなげるためには定期的に検査を受けることが大切です。