いぼ痔の治療について
治療はいぼ痔(痔核:じかく)の症状や生活パターン、患者様のご希望によって、治療法も変わります。
出血やおしりの痛み、脱出など、痔が疑われる症状がある場合、まずは大腸の病気など、ほかの原因がないかどうか、検査をして確かめます。
いぼ痔であることが確認されたら、生活の改善と薬の使用による保存療法を行います。保存療法を続けても改善がみられない場合に、外科的療法がおこなわれます。
それほど脱出しない痔核(I度~II度の痔核)に対しては生活指導や、外用薬でほとんどが症状を抑えることが可能です。痔核が進行すると、頻繁に脱出して指で押し込むようになったり、ずっと痔核が出っぱなしになります。(III度~IV度の痔核)。このような痔核は薬物治療や生活習慣の改善だけでは治らないので、外科的治療を行いますが、そのほとんどは痛みも少なく日帰りで治療できるため、簡単に対処できることが多いです。
生活指導
生活指導では、下記のような生活習慣の見直しを行います。
- 便秘や下痢をしないように気をつける
- トイレで強くいきまないようにして、排便は短時間(3分以内)で済ませるようにする
- 毎日入浴し、おしりをいつも清潔に保つ
- 長時間の座位や立位は控える
- 辛いもの、アルコールなどの刺激物は控える
- 食物繊維と水分をしっかりとる
- 手軽にできる運動を、毎日行う
- ストレスをため込まないようにする
薬物療法(軟膏や坐薬など)
お薬を使った治療では、ビスマス系とステロイド系などのお薬を使用します。
- ビスマス系
- 出血を抑える効果があるため、出血量が多いときに用います。
効果が強く即効性がありますが、長期に使用することはありません。 - ステロイド系
- 炎症や痛みが強いときに用います。
ずっと痔核が出っぱなしの痔核(III度~IV度の痔核) などに使用します。 - その他
- 長く使用する薬剤は、副作用の少ないステロイドやビスマスを使用していない薬を用います。
外科的治療法
外科的治療といっても、痔を切らずに治す治療法もあります。
切らずに治す治療法
- 1.出血する内痔核に対するフェノールアーモンド注射療法(切らずに治す)
- いぼ痔(痔核:じかく)の根元に硬化剤(物質を硬くする作用をもつ薬品)を注入し、
痔核を硬くし、壊死(細胞が死ぬこと)させます。
メリット
- 短時間(約5分)で、日帰りで治療でき、痛みもほとんどありません。
- 脱出する痔核には効果がないことと、薬の効果が短いということです。
- ゴム輪結紮療法(切らずに治す)
- 結紮療法は特殊な輪ゴムなどでいぼ痔(痔核:じかく)の根元を縛って、血流を止めて痔核を壊死させる方法です。内痔核は痛覚神経がないため、痛みはありません。1~2週間で痔核がしぼんでゴム輪とともに脱落し、便にまじって排出されます。
メリット
- 短時間(約5分)で、日帰りで治療でき、痛みもほとんどありません。
- 炎症を繰り返して粘膜が硬くなっているときや、外痔核も伴う場合は治療できません。
- ALTA(ジオン)注による痔核硬化療法(切らずに治す)
- ジオンは、内痔核の周辺に「硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸」が含まれた薬を注射し、痔核とその周辺の組織を固め、血流を防ぐことにより、いぼ痔(痔核:じかく)を小さくする効果が期待できる治療法です。
治療にあたっては特殊な投与技術(四段階注射法)が必要なため、決められた手技の講習会を受講した専門医でなければ治療を行えません。
メリット
- 手術と比べて痛みや出血が少なく、治療期間も短いため、身体的・精神的負担が軽減されます。
- 短時間(治療する痔核の個数によります)で施行でき、日帰り治療できます。
- 治療費が手術の1/3~1/2程度(保険診療の場合)で、経済的負担が軽減されます
(施設により費用は異なります)。
- 手術に比べ再発率がやや高く、再発の可能性はゼロではありません。
- 外痔核には効果がありません。
- ALTAを患部に注射する手技(四段階注射法)は難度の高い技術のため、手技の講習会を受講した専門医でなければ治療を行えませんので、どの病院でも気軽に受けられる治療法ではありません。
切って治す治療法
- 結紮切除法(手術)
-
痔核の大きさや形、位置などに柔軟に対応できるため、外痔核をともなって脱出する内痔核も処置できます。痔核に血液を送っている血管を縛ってから、痔核を切り取ります。
メリット- どんな痔核に対しても治療できます。ほかの治療法と比べて根治性がもっとも期待できます。施設によっては日帰りでの治療が可能です。
- 一般的に、入院が必要です。手術後は排便時に痛みや出血がある場合があります。